童貞卒業
僕は20歳までセックスの経験がなく、いわゆるチェリーというやつでした。このままゆけばプロの力を借りるほかなくなってしまうという危機感を覚えた僕は、出会い系サイトというものに登録をしてみることにしました。
優良と呼ばれるサイトに登録したので、しばらくすると、女性とメールをして遊ぶ約束を取り付けるという所まではすんなりいきました。
しかし、チェリー卒業という所までは中々難しい。
今思えば、僕は二十歳を超えてチェリーという事にコンプレックスを抱いていて、それを過剰に押し隠そうとしていました。だから、少し慣れた風を装うのですが、それは全くぎこちないものでしたでしょうから、出会い系サイトで知り合った女性達からさぞ失笑を買っていたに違いありません。
ただある時、僕は開き直ってこんな風に言うのです。
「僕はチェリーなんです。それで頑張ってなんとか卒業しようとして、出会い系サイトを始めたんですけど上手くいかなくて……」
そう。自分の気持ちの正直なところを打ちあけたのです。
その時の女性からは、「そう……頑張ってね」と言われたのみでしたが、僕は手ごたえのようなものを感じていました。
それから僕は出会い系サイトで知り合った女性に対し、チェリーであることを隠さないようになりました。むしろ進んで暴露するようにすらなった。
しばらくすると、
「そう。可哀想だよね。きっと運が悪かっただけだよ」
と言って筆下ろしをしてくれるという女性が現れました。
彼女は今現在の僕の恋人です。